開平(Kaiping)2002/4
 
なんでもない農村地帯に下品な洋風建築がそびえ立つ。


一番よくあるのがこんな塔の形をした洋楼。


一番有名な端石楼。形が美しく、装飾も凝っている。


端石楼の壁に開いた銃丸。向こうに見えるのは昇峰楼。


端石楼の床にある銃丸。楼の下に近づいた敵を狙う。


端石楼の室内。思ったより狭くて質素な作り。中はよく保存されている。


回りの風景はどこまでものどかだ。
■開平の洋楼について■
中国で発売されている日本向け月刊誌「人民中国」2001年2月号に載っていた洋楼の写真を見て以来、いつか行ってみようと思っていました。その見開きページの写真には、いかにも中国らしい農村にそびえ立つ洋風建築が写っていました。いいえ洋風というにはあまりにも異様な、まるで城塞のような、武骨で品のない建築でした。
色々なガイドブックを見ても開平についての紹介はなく、出かけることに躊躇していました。どこに行けばこの建築が見れるのか?本当にこんな建物が沢山あるのか?交通や宿泊は?色々不安はあったのですが、実際に行ってみるといとも簡単にこの洋楼群を訪れることができました。

洋楼は中国語ではディアオ(石へんに周)楼と言います。建てられたのは20世紀の初から中頃にかけてで、開平から台山周辺にかけて多く見られるようです。この辺りは20世紀の初め頃から華僑を多く輩出した土地柄で、海外で財を成した人々が故郷にこうした中華風シャトーを建てたのだそうです。
特徴的なスタイルが生まれたのには次の理由があります。一つは開平出身の華僑の多くが建設業に従事していたため、西洋の建築についての知識を持ち帰り、それを生かして自分の住居を建てたこと。もう一つはこの地域の治安が悪く、盗賊から自分たちの財産を守るため、防御に徹したスタイルの建物を発注したこと。そんな理由でこの化け物屋敷が出来たのです。
洋楼といってもよく見ると色々なスタイルがあります。お城風の物や塔のように細長いもの、牢獄みたいに四角いもの。中国南方で一般的に見られる中洋折衷の邸宅も多く見られます。しかも開平の郊外にこんなのが幾らでもごろごろしています。


■見所■
どこに行けば洋楼が見れるのかというのが一番の問題でした。でも、バスが開平市に近づくと早速窓の向こうにバスティーユ牢獄みたいなのがチラホラと見えて来ます。
開平の地図に書いてある洋楼は「立園」と「南楼」という観光地だけなので普通の洋楼を見るには郊外に適当に足を伸ばして捜して歩くのがよいと思います。大きい洋楼を見つけると感動します。洋楼が特に集中しているのは塘口鎮(536軒)、百合鎮(385軒)、赤坎鎮(200軒)、蜆岡鎮(155軒)とのことです。主な洋楼の場所はこちらで紹介します。洋楼の写真集も色々出ているのでそれも参考になると思います。

開平にはまだまだ観光客は数えるほどしかいません。ガイドブックはないし、地図も詳しくありません。しかし今この洋楼で観光客を集めようと一生懸命です。現地であった市の職員の話ではなんとこれを世界文化遺産に登録しようともくろんでいるようです。そんな事情があるせいか、村の中にずかずか入っていっても人々は寛容で、にこやかに見守ってくれます。洋楼の門は閉ざされていて中に入れないのがほとんどですが、運良く持ち主がそこに居れば見せてもらうことも可能です。ほとんどの場合持ち主は既に居ず、建物は荒れるに任されています。

もしかしたら世界で初めての洋楼ガイドはこちらです。


■交通■
開平市は広東省にあり、広州の南西130km程の所に位置します。広州駅近くの省汽車客運站からバスが1時間に1本くらい出ていて開平の街の中心の長沙汽車站まで2時間弱で行きます。広州の芳村客運站からは30分に一本出発、開平の北にある義ツー【ネ+司】汽車站に到着します。
開平には長沙汽車站と義ツー汽車站と二つバスターミナルがあるので面倒です。街の真ん中にある長沙汽車站の方が便利ですが、郊外へのバスは義ツー汽車站から出ています。他にも深セン【土+川】(羅湖汽車站行き)や台山行きは長沙汽車站から出ています。二つのバスターミナルの間は市バスが頻繁通っているので問題ないです。
郊外の村へはバスが充実していて、約30分間隔で各地に出ています。また村の中ではオートバイタクシーが沢山いるので交渉すれば洋楼の前まで連れていってくれます。


■宿■
僕が泊まったのは長沙汽車站を出て真っ直ぐに5分程歩いた所にある電視大厦(ツイン105/シングル90元〜)。窓のすぐ先にアパートの窓が迫っているので日当たりが悪いです。もう一つは長沙汽車站から10分程歩いた川沿いにある華僑大厦(ツイン定価188元が150元になった)で眺めが素晴らしいのですが夜にマッサージ嬢が部屋をノックするのには閉口です。ほかにも長沙汽車站の回りに安そうな宿が何軒かありましたが試してません。


■食事■
広東省にあるくせに食堂は充実していません。特にラーメンはゆでた豚肉と菜っぱが乗っかっているだけの粗末なものしかありませんでした。マクドナルドとケンタッキーがあるのはさすが広東省。
 
つづく