朝早い飛行機だったので、前日にタクシーを予約した。50元だよ言う。普通の3倍するので乗りたくはなかったが、他の手段を講じるのが面
倒だったので、これで手を打つ。
翌朝、タクシーは僕を待っていたが、僕の他にも3人の客が乗り込んできた。こいつらは3人で20元だそうだ。随分強欲な運転手である。結局空港まで70元ももうけたのだ。
空港はとても近くにある。車でなら15分で行ってしまう。街はまだ、薄暗く、人影はまばらで、車もほとんど走っていない。そこをタクシーは猛スピードで走り抜けていく。
途中、車が一台道の真ん中に止まっていて、その横に人間が一人横たわっていた。そして、その車の運転手らしき人が、茫然自失の態でのぞき込んでいる。
タクシーの運転手は「死了(死んだな)」と言って、その車の横をビューンと走り去った。
僕は、そうか、死んだか。と思った。
それだけの話。
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