1999●南寧
 


南寧の迎賓飯店のシングルルームにて。

夜中に電話で起こされてしまいました。
「ウエーイ、(すごく色っぽい声で)アンマいりませんか?」
困ったものです。地方の安めの宿の電話付きのシングルに泊まると必ずといっていいほどこの手の電話が入ります。中国人もスケベになったものです。
しかも非常に困るのは、自分が電話を掛けている部屋の客が外人だとは夢にも思っていないことで、
「なにそれ?」
と聞こうものなら、その気があってサービスの内容を聞こうと思っているものと一方的に誤解され
「わかってるくせに〜、うっふん〜」
とますます調子に乗せてしまいます。
だからと言って
「不要!」
と言ったくらいでは全然引き下がってくれません。こういうときは
「私は眠たいので二度とかけてこないで欲しい」
と神妙な声で言うしかありません。そうしないといつまでも電話に悩まされてしまいます。日本語で文句を言ってもふざけているのかと思われて「もう一押し」とばかりにかけてきちゃいます。
さて、この夜も2度電話が来たのですが、すぐにあきらめてくれました。しかし目が醒めてしまい、時計を見ると朝の4時でした。もはや朝です。
この状況から察すると前の客がよほどしつこかったか、第3回戦に挑もうとしていたのか、どちらにせよひどく強欲な話です。
聞き耳を立てると他の部屋からも電話のベルが聞こえます。あちこちからトイレを流す音が聞こえてきました。かわいそうに、このホテルの全てのシングルルームの客がたたき起こされたことは言うまでもありません。