夕方、ラオス北部の観光都市、ルアンプラバンに到着した。さっき飯を食べて来た。食ったのはインド料理屋のカレー。
大して美味くないのだが、なんか久しぶりに文明の味を満喫した。山の中ではろくな食い物はなかったのだ。
今日でラオスでの走行はほぼ終わった。そして今日が最も厳しい一日だった。
まず、昨夜から雨が降り出し、朝になっても止まない。同じく雨がやむのを待っていたドイツ人の二人組の
サイクリストとしばらく雑談をしていると、9時前にやっと雨が止む。
急いで準備して、出発。道は下り坂だが、雨に濡れており、霧も出ていてとても危険。
ブレーキレバーを握りしめて慎重に進む。しばらく走ると、路上に人だかりがしている。何だろう?と近づくと、
さっきまで話をしていたドイツ人の一人が転倒して倒れている。おそらくスリップして転んだのだろう。
真っ青な顔で、言葉も話せず、もうろうとしている。おでこに巨大なタンコブができている。
異変に気づいてバスが止まってくれて、乗客に英語を話すラオス人がいたので、そのバスで病院に運ぶ事になる。
僕はただオロオロと見守るだけだったが、英語を話せる人がいたのはとてもラッキーだった。
二人のドイツ人を載せたバスは去り、僕は前より増して慎重に坂道を下っていった。
標高1415mのスタート地点からひたすら15kmの下り坂で、標高395mまで下る。その後、上り坂となり
標高1080mまで登る。この3日間、上り坂で鍛えたので、今日はあまり辛いとは感じない。黙々と登り続ける。
峠に達すると一面の霧。しかも雨まで降って来た。この先は標高380mまで下るのだが、雨で前が見えず、ブレーキも利きにくく、
とても恐ろしい。先ほど見た転倒したドイツ人の姿が目に浮かび、下り坂もあまり楽しくない。そして恐ろしく寒いのだ。
全身びしょ濡れになり、谷の町に到着。へとへとになりながら最後の峠(標高500m)を越え、やっとの事で目的地に到達した。
今回の旅行で、初めてヒルクライムに挑戦したが、上り坂の辛さだけでなく、霧、雨、寒さ、転倒、そして文明の有り難さ。
いろんな事を経験したような気がする。
雨が止んだ隙をついて出発。自転車には雨対策装備を施した。
標高1080mの峠。この先、霧と雨と寒さに悩まされる。
急に景色が開けた。絶景が広がる。川沿いに見える町まで坂を下り、さらに25km走った所がこの旅の目的地、ルアンプラバン。
この町に数日滞在して、日本に帰国する。
今日の走行距離:79.01km
最高速度:33.1km