0101 Phnom Penh – Skun

夜中の盛大な花火でプノンペンは新年を迎え、僕は旅の後半に突入し、今日からまた自転車で走り始める。
プノンペンの車の洪水に流され、猛烈な排気ガスの臭気を浴びながら、37kmほど走ってやっと交通量が減ってきた。風景はのどかな農村地帯となり、気持ちも弾む。

この辺りは水が豊富なためか、乾期のこの時期でも緑の田畑が広がっていた。ほかの地域ではおおむね枯れ草ばかり。

メコン川に沿ってしばらく走る。
気分良く走っていると、対向車線を外国人サイクリストが走ってくる。いつものように挨拶するが、いつもと何かが違う。どう見ても日本人の顔をしている。試しに「こんにちは」と言ってみると、向こうも「あ、日本人」と驚いて停車し、しばらく話をする。
何年もこの季節に自転車で旅行して、百人以上のサイクリストを見かけているが、日本人を見たのは初めてだ。学生の彼は、冬休みを利用して20日ほど旅行しているのだそうだ。
彼と別れてから、順調に走行を続け、今日の目的地のSkunには3時に到着してしまった。ここ数日はほとんど走っていないせいか、脚の疲れもなく、あと3、40キロ走っちゃいたいと思う勢いだった。もっともそれでは泊まれる宿があるかどうかが問題なので、この町に泊まっておく。

宿はまあまあだが、町自体は酷くきたない。国道6号と7号のジャンクションにあり、交通量も多いし、ほこりっぽい。
町の名物はクモ。スパイダー。珍しい種類のがいるのではない。毒グモがいるのでもない。美味いクモで有名なのだ。バスが立ち寄るドライブインにはクモのオブジェが飾られ、クモを売るおばちゃんたちがたむろする。ほかにまともな名物はなく、クモを食う気にもなれないので、何もすることがない。
まだ日も明るいのに、ビールを飲み始めてしまった。こんな事は初めてだ。
今日の走行距離:89.47km
今日の昼間のビール:2000リエル(約40円)

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